・キーワード
レンタル業 / IBM Notes(現 HCL Notes)移行 / 基幹システム連携 / Office 365(現 Microsoft 365)連携 / ハイブリッドクラウド構築
横河レンタ・リース株式会社様
・業務内容
IT機器や計測器のレンタル事業を基軸に、システム基盤設計・構築・保守まで行うシステム事業を展開。また高付加価値サービスとしてデータレスPC™ソリューションや資産管理BPOソリューションをはじめとする自社開発のクラウド型サービスを展開するなど、お客さまの業種を問わない柔軟なソリューションを積極的に取り組んでいる。
左から情報システムセンタ システム開発運用部
第一課 早田様、第三課長 陣内様、
執行役員 情報システムセンタ長 髙倉様
1987年の創立以来、事業の柱であるレンタル事業から、30周年を迎えた今年はIoT社会の本格到来に向け「『モノ』から『コト』へ」「『ハードウエア』から『ソフトウエア』・『サービス』へ」とコンセプトを拡大し『サービス創造、提供カンパニーへの変革』を目指して動き出した横河レンタ・リース様。新しいビジネスを推進していく上では、ITは事業の成長を支えていく重要な存在となる。
そんな中、社内システムの運用状況は、まるでその流れに逆行しているかのようであった。
システムの大部分は2010~2012年に導入されリプレイスの時期を迎えていた。既にサポート切れや老朽化が進み、情報システム部門としての運用負荷もかなり大きくなっていた。
また、EAIツールはデータ量が増えると不安定になり、各システムとの連携も複雑に絡み合う状態でもあった。
とりわけ古いIBM Notes(現 HCL Notes、以下 Notes)は「このままではいつか止まってしまうのではないかと、不安な気持ちの中で使っていた。」(陣内氏)毎朝行う基幹システムとの連携バッチに時間がかかり、業務に支障がきたすことがあった。
基幹システム(IBM System i 旧AS400)はレンタル業務の受発注・在庫管理・会計などの重要な機能を担っていたが、サポート切れ目前となり、早急に基幹システムのバージョンアップのプロジェクトが立ち上がった。
基幹システムと重要なデータを密接に連携するNotesに関しても基幹システムがバージョンアップすることで不備が生じる可能性が高い。そのため、基幹システムのバージョンアップを終えるまでに、限られた社内リソースで何とかNotesのリプレイスを検討・完了させる必要に差し迫られていた。
具体的なスケジュールは、基幹システムのバージョンアップの移行作業が2017年2月に終了することが決まっていたので、2016年12月末までにはNotesのリプレイスも完了させる必要があった。(2016年6月時点) 今あるものを単にリプレイスするだけでは従来と同じことを繰り返してしまう。今までのスピード感やアーキテクチャではなく、ITの仕組みそのものをどうチェンジして、 どの領域に時間をかけて構築していかなければいけないのかを見据えて、髙倉氏は移行先の製品選定で考えていた。
「ユーザーや業務部門からの要請で、われわれがアプリケーションを企画したり開発・設計に注力できるような形にしていきたい」(髙倉氏)
アプリケーションの作成では、従来のウォーターフォール型ではなくユーザーの要望を早く実装。それによって業務改善ができるなら使い、できないなら捨てていくという手軽なプラットフォームが求められた。
「クラウドファーストのようなスタンスでクラウドを使うか使わないかではなく、『なぜクラウドではないのか』という観点」(髙倉氏)
しかし、社内にはレガシーなシステムやデータもたくさんあり、当然クラウドに乗せられないデータもある。
クラウドとオンプレミスのハイブリッドクラウド環境や、既に利用しているクラウドサービス連携などのマルチクラウド環境をどのように活用していくのかを早急に検討する必要があった。
移行先の製品をkintoneに選定した後もクラウドに対する不安はあった。しかし、単なるNotesリプレイスではなく、情報システム全体を引き上げるプラットフォームとしてkintoneの導入を選んだ。
移行先の製品がkintoneに確定後、次に重要になってくるのは本当にNotesアプリケーションを移行できるのかという問題だった。
移行前、100個近いNotesアプリケーションが存在していたが、棚卸を実施することで最終的にkintoneへ移行必須な10個のアプリケーションを選定できた。
しかし、その中でも特に重要な以下の機能が、本当にkintoneに移行できるのかという不安が残っていた。
不安を解消するために必要だったのは「Notesからkintoneへ移行できる」という技術的な裏付けである。 必然的にNotesとkintoneの双方のノウハウと技術力を生かした提案力が求められた。
Notesからkintoneへの移行の際に、開発ベンダーが必要になると感じていた横河レンタ・リース様から当社を選定いただいたポイントとして『Notesの実績』『提案のスピード』『ベンダーとの信頼関係の構築』があげられる。
アプレッソ社のThunderbusを利用して基幹システム(IBM System i 旧AS400)とkintoneのデータ連携を実現。
kintoneから基幹システムのデータを収集し、Microsoft 365からのメール送信を実施。
現場の意識改革
運用面
開発面
「事前にNotesのどの機能がなくなって、代わりにkintoneではこうなるという的確な説明をいただけて、最終的なイメージを持てたので、安心してお任せすることができた。
プロトタイプができ上がってくるのもかなり早く、ユーザーに迅速に見せることができて、イメージが絶対的に分かりやすかった。また、Notesの知見がおありだったのでNotesユーザーだとこう考えるというところがよく理解されていました。
Notesあるあるを知っていたからこそ、事前にケアやユーザーへのヒアリングの際に連携できていたのも大きいですね。」(陣内氏)
「kintoneとオンプレミス・データのリアルタイム連携を、DataSpiderとThunderbusで構築することで、パフォーマンス的にも問題なく、かつセキュアなデータ連携を実現できました。 また、DataSpiderのkintoneアダプタを利用することで、kintoneを熟知していなくても連携インターフェースを構築することができました。 kintoneの詳細な情報が必要な際には、コムチュアさんの知見があり助かりました。」(早田氏)
「プラグイン化の際にもアイデアを出していただいて、kintoneやkintone界隈の知見をよく深いところまでいろいろ知っている。
何かお願いしたいというと、『こういうソリューションがありますよ』『こういう方法でできますよ』というのをかなり早く提案してくれるので手放せない存在に。
継続的に何を考え、何が当社の課題になっているのかを認識してもらい、これからもさまざまな提案をしてほしい」(髙倉氏)
Notes移行の提案から携わり、現在も横河レンタ・リースさま内でアカウントSEとして対応する担当者が提案時のポイントや案件対応を振り返ります。
「何点かポイントがありますが、まずはkintone移行に対する大方針の合意を取ることを心がけました。決して、Notesと同じシステム(機能・UI・操作)を作ってはいけない。(※同じシステムを作るならNotesのVerUPが一番よい。)
その次は、Notesで行っている業務を理解することです。変わるのは業務ではなく、ツールでありNotesで行うがkintoneで行うが業務は変わらない。またツールが変わることで利用ユーザーが戸惑うことが予想されました。その場合は、kintoneでしかできない操作UIを要件確認から開発まで何度も提案し続けました。
またこのプロジェクトをとおして、お客さまの業務を深く理解することができました。それは今後の提案に生かせると感じています。
最後に、kintoneの活用方法についてプロジェクト期間中、常に会話をしました。kintoneは、Notesの移行先だけではもったいないですから。1アプリでも1ユーザー1500円、1000アプリでも1ユーザー1500円。使えば使うほどお得なんです。プロジェクトの定例会では予定の10分より早く終われるよう努力し、その時間を利用して、弊社他社事例などよく紹介していました。」
「このままではいつか止まってしまうのではないかと、不安な気持ちの中で使っていた」(陣内氏)